ハプスブルク展の後、シルバーのメンテ
2019/11/15
店主の郷間です。
先日、国立西洋美術館の「ハプスブルク展」に行って来ました。
ハプスブルク家とは、かのユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)も属するユリウス氏族の末裔とされ、15世紀から20世紀初頭にかけてヨーロッパを広範囲に支配した一族として知られています。そんな一族のお宝が観られるとあって楽しみに行き、画像の「青いドレスのマルガリータ王女」をはじめとした名作が並んでいたのですが…展示品が絵画に偏っていたのが少々残念。
あらためて思ったのですが、私は絵画よりも彫刻や工芸品のような「職人」らしい作品が好きなのだなぁ、と。
今回最も面白かったのは甲冑(かっちゅう)でした。
日本の甲冑は動きやすさや生産効率を優先して隙間が多いのですが、西洋のいわゆる「プレートアーマー」は関節部分も金属に覆われており、見事なものです。関節部分を観ているだけで時間を忘れます(^^;)
甲冑を観ているときに思い出したモノがあり、帰宅してすぐにそれを探して…あ~ありました!
20数年前に購入した、Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)のアーマーリング。アーマーリングは今でも売っているようですが、このタイプは廃番…だと思います。
今ではトラディショナルな革靴やスーツを皆さんに紹介している私が、学生時代に「パンクの女王」ヴィヴィアンのリングをしていたのは若気の至りですですが(^^;)、それより何より、久しぶりに見たらシルバーが真っ黒になっているではないですか!
これは汚れや錆ではなく、硫化(硫化水素と結合すること)です。硫化水素は空気中や汗にも含まれているため、銀製品は時間とともに徐々に黒ずんでいきます。硫化銀になっているという事ですね。温泉につけるとすぐに真っ黒になるのはそのためです。
では、さっそく綺麗にしていきましょう。
黒ずみを取る方法はいくつかありますが、研磨剤(ピカールや歯磨き粉)で磨くのは好きではありません。研磨って削っているわけですからね、それは最後の手段。できる限り化学反応で何とかしましょう(余談ですが化学反応が大切なのは洗濯も同じです)。
用意するのは100円ショップでも売っている重曹と、アルミホイル、容器(コップなど)、熱湯。
容器にアルミホイルを敷き、重曹(量は適当で大丈夫です。今回は熱湯200mlに重曹大さじ1杯くらい)を入れて熱湯を注ぎます。そこに、綺麗にしたい銀製品を入れて数分置くだけです。黒ずみが酷い場合は何度か繰り返します。アルミホイルはその都度交換してください。
で、こんな感じに綺麗に仕上がりました!
これは、文系の私ではうまく説明できませんが、イオン化傾向という特性を利用しています。簡単に言うと、銀と結合した硫黄をアルミニウムに奪ってもらう、という事です。奪ってもらった硫黄はすぐに大気中に放出されるのでちょっと硫黄臭くなります。しっかり換気しましょう。
重曹はあくまでも触媒で、食塩でも代用できます(試したことはありませんが)。
黒ずんだ銀製品を綺麗にしたい方はお試しください。
というわけで、ハプスブルク展に端を発したシルバーのメンテナンスでした!
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