ホールカット考
2022/11/27
店主の郷間です。
T様よりご注文をいただいたオーダーシューズの仕上がりです。
デザイン:CS-108 whole cut
革:アノネイ・ボカルー黒
ソール:革底ダブルソール
タン(ベロ)の部分以外は一枚の革で作られることから、ホールカット(whole cut)とかワンピースと呼ばれるデザインです。
フォーマルな紳士靴と言えば、(オペラパンプスを除けば)内羽根ストレートチップかプレーントウですよね。でも、シンプルなデザインほどフォーマルであるという考え方に則れば、この中にホールカットが含まれても良いのではないでしょうか?実際には、ホールカットのフォーマル度は先の2つより落ちるとされています。
以前、靴を作っている仲間がそのようなことをつぶやいていたので、私なりにその理由を考えてみました。
昔から、フォーマルシューズにはエナメル革(パテントレザー)を使うことが多くありました。見た目の美しさはもちろん、靴墨を使わないため女性のドレスの裾を汚す心配がない、というのもその理由だと言われています(お洒落!)。
しかし、エナメルでホールカットシューズを作ることは非常に難しいことなのです。革靴のパターン(型紙)はパーツが分かれていればいるほど立体になりやすく、究極的にパーツが少ないホールカットは最も立体に成型することが難しいデザインと言えます。そのため使う素材は変形させやすい(加工しやすい)革である必要があり、エナメルのようなシワの入りやすい革では作りにくいデザインなのです。
つまり、ホールカットはエナメルで作ることが難しかったため、フォーマル度の高いデザインとされてこなかったのではないか、というのが私の意見です。皆さんはどう思いますか?
T様、この度はありがとうございました。
末永いご愛用をお願い致します。
オーダーシューズ 46,200円(税込)~
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