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「回想の明治維新」(メーチニコフ著)

2020/10/05

14.出来事

店主の郷間です。

 

最近、西洋の文化が日本に入ってきた戦国時代や、本格的に西洋化が始まった明治維新にかけて、外国人が書いた日本についての本を何冊か読みました。
今回はその中の一つ、「回想の明治維新」(メーチニコフ著)を紹介します。
1883年から1884年にかけてロシアの新聞に連載されたものだそうです。

回想の明治維新 メーチニコフ

薩摩藩に招聘されて来日した著者は、その後文部省に雇われながら日本についての研究をします。
たった50年の生涯で10数ヶ国の言語を理解したと言われるメーチニコフですので、ただの雇われ外国人よりも広い見識を持っていたのでしょう、政治、国民性、仏教から歌舞伎まで、日本文化に触れたことがなかったとは思えない(もちろん多少の事実誤認もありますが)ほど的確に考察されていることに驚かされます。

 

私の文章を読んでくださっている方が気になるのは、やはり「日本人の装いについてはどのように感じたか」ではないでしょうか。
メーチニコフはこのように表現しています(意訳です)。

 

「日本のお洒落(粋)の極地はネズミ色とも赤茶ともつかぬ、くすんだ色調を揃えることである。しかし日本人の大衆はまるで制服でもあるかのようにインジゴ色の着物に身を包んでいた」

 

なるほど、日本では他国と比べて圧倒的にネイビーのスーツが売れると言います。藍色・紺色好きは当時の外国人の目から見ても際立っていたようですね。
そして、著者が言う「くすんだ色調」こそが、日本人に似合う色の答えの一つかもしれません。今度、意識してそんな生地を探してみようと思います。

 

本書を通じて著者は、ヨーロッパ人は高い教育水準がある日本を侮るなかれ、と言い続けます。
訳者である渡辺雅司は、過大にすぎるように思えるメーチニコフの日本評価は、西欧人におごりを捨てさせようとする真意があると述べています。そして、日本語訳が出版された1987年(バブル景気真っ只中)の状況を鑑み、今度は日本人が「無自覚にジャパン・アズ・ナンバーワンを謳歌する」ことに警鐘を鳴らしています。おごれる者は久しからず。数年後から日本経済は長い不況に入るのは皆さんご存知のとおりです。

 

ここ数年、「日本はスゴイ!」と言う内容のテレビ番組が目立ちます。日本を元気にしたいという思いはわかりますが、現実よりも過大評価されていることを念頭に入れておかないと、またいつか「おごれる者」になってしまうのかもしれませんね。

 

 

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