濹東綺譚
2019/02/19
店主の郷間です。
最近、永井荷風の「濹東綺譚(ぼくとうきだん)」を読みました。
「濹東」(墨東)とは隅田川中流の東岸地域のことを指します。
舞台は当店から徒歩15分くらいの玉ノ井(現在の東向島あたり)ですので、いつか読まなければならないと思っていた小説でした。
自分(荷風)と主人公を重ね合わせるように描写した私小説的な書き方で、ドラマチックな展開があるわけではありませんが、関東大震災後の濹東や浅草、銀座などの雰囲気が美しい文章で描かれています。この時代の東京を実際に見てみたかった…
「(前略)一度崩れてしまったら、二度好くなることはないですからね。芝居でも遊芸でもそうでしょう。文章だってそうじゃないですか。勝手次第にくずしてしまったら、直そうと思ったって、もう直りはしないですよ。」
物語終盤に出てくる何のことはない会話ですが、まるで昨今のクールビズやスニーカー通勤、ビジネスリュックなどの装いの変化のことを言っているように私は感じました。
いつの時代も文化は徐々に崩れていき、それを憂うものなのかもしれません。
鐘ヶ淵が出てくる池波正太郎の「剣客商売」もいつか読んでみたいと思います。
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