捨て寸
2023/01/14
店主の郷間です。
当店のオーダーシューズには、木型のタイプが3つあります。
それぞれに特徴のある形状をしていますが、違いが最も分かりやすいのは、爪先の形状と長さです。
今回は爪先の長さ、つまり「捨て寸」の話です。
私の足の実寸(足長)は24cmですが、私が履いている靴を測ってみると、実際には27~28cmくらいあります。爪先の前部分に数cmの空間があるため、その分長くなっているのです。この空間を「捨て寸」と呼びます。捨て寸は足が入らないスペースですのでフィッティングに影響がなく、比較的自由にデザインできます。そのため、靴メーカーはこの部分を長くしたり短くしたり、丸くしたり四角くしたりすることで個性を出しています。

画像1枚目は、サイズは同じですが木型が異なる当店のオーダーシューズ3足です。使用している木型は左からCS、ES、MD。見た目の印象が違うのがお分かりいただけると思います。捨て寸の長さはCSが約35mm、ESが約25mm、MDが約20mmです。
ご注文の際の参考にしてみてください。
捨て寸と言えば、皆さんはプーレーヌ(もしくはクラコー)と言う靴をご存じでしょうか?中世ヨーロッパに男性の間で流行した、捨て寸の長い履物です(画像2枚目)。ポーランドが起源とされ、プーレーヌとは「ポーランド風」と言う意味で、クラコーは当時の首都の名前です。
先が反りあがっているものもあり、ピエロとか魔女が履いている靴と言えばピンとくる方も多いでしょうか。

身分が高いほど長いものを履くことを許され、中には捨て寸だけで30cmを超えるようなものもあったそうです。捨て寸はフィッティング(フィット感、履き心地)には影響しないと言いましたが、これだけ長いと歩き心地は最悪でしょうね(^^;)
実用性が低いほどエレガントであるという美学は分からないでもないですが、さすがに限度があります。
そういえば現代でも、コックさんは帽子の高さが高いほど地位が高いという話があります。
靴の捨て寸が身分を表す時代は終わりましたが、空間を無駄に使うほど偉いという考え方はこんなところに残っているのかもしれません。
オーダーシューズ 46,200円(税込)~
当店は山形県南陽市の宮城興業ふるさと納税お仕立券に対応しています。
フィボナッチ紳士洋品店
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