フィボナッチ紳士洋品店

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不道徳なスーツ

2022/10/17

06.オーダースーツ・ジャケット

店主の郷間です。

この秋冬用のサンプル用として、面白い生地でスリーピースを作りました。

生地:’The Hanky-Panky’ Wool100% 450gms
デザイン:3つボタン2つ掛け、ノータック
仕立て:SILVER LINE
その他:共生地くるみボタン

オーダースーツ ザ・ハンキーパンキー 1930年代
オーダースーツ ザ・ハンキーパンキー 1930年代

生地屋さんに保管されていた1935年製のスーツに使われていた生地を国内で復刻しようと、試行錯誤の末に生まれたのがこの「The Hanky-Panky」。20年代に生まれたカクテルの名前であり、「不道徳」という意味も持つ言葉です。世界恐慌に突入した30年代から見た、「狂騒の20年代」と呼ばれた刺激的な時代のイメージ、一言で言えば「遊び」でしょうか。

遊びと言っても、派手な柄も入っておらず、色がヴィヴィッドなわけでもありません。
複雑な杢糸(もくいと)遣いや、ざっくりした織りなど、不均一さが味になっていると言う意味での「遊び」だと私は解釈しました。

しかし、90年も前の生地を再現しようと取り組む中、紡績技術が進歩したことで現在では同じような(風合いのある)糸が作れない、という皮肉な現実の壁にぶつかります。
トライアンドエラーの結果、この壁を突破したのが、紡毛(短く太い羊毛)2色に梳毛(長く細い羊毛)4色を巻き付けて1本の糸にすることで自然なムラを出すという方法でした。

モノづくりの世界では、生地に限らず、効率化・低コスト化に伴い失われてしまった技術が数えきれないほど存在します。
当時と同じ環境(原料や機械)を用意することが難しいとき、そこであきらめてしまうのか、別の手段で再現できないか試みるのか。「The Hanky-Panky」はまさに後者の成功例だと思います。

そんなエピソードを持つこの生地は、他では作れない(もしくは手間がかかるので作りたがらない)モノを少量ずつ作るという、これからの日本のモノづくりの在り方の可能性を示しているのかもしれません。世界的な大量生産の流れの中で切り捨てられてしまう部分を埋められるのは、日本のモノづくりではないかと私は思っています。

そんな1930年代の生地を再現した素材ですので、ちょっとその時代を意識したカジュアルスーツを作ってみました。
3つボタン2つ掛けでVゾーンを狭く、トラウザーズは股上の深いノータック、共生地のくるみボタンなど、やり過ぎない程度にクラシックな雰囲気です。
スーツ=ビジネスではなくなった昨今、こんな「遊び」のあるスーツを着る人が増えてきたら楽しいですね^^

The Hanky-Panky wool100% 450gms 1色のみ

オーダースーツ ザ・ハンキーパンキー 1930年代

●The Hanky-Pankyの場合●
スーツ
・SILVER LINE 101,200円(税込)~
・GOLD LINE 149,600円(税込)~

ジャケット
・SILVER LINE 68,200円(税込)~
・GOLD LINE 108,900円(税込)~

[堀口切子]江戸切子ピンズ(ラペルピン) 16,500円(税込)

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