ヒールの内側の角
2022/05/04
店主の郷間です。
当店のお客様にはほとんどいませんが、革靴の底面に無頓着の人は多いものです。
この場合の頓着は、「ソールのお手入れをこまめに行なっている」ことではありません。
自分が履いている革靴が革底なのかゴム底なのかも覚えていない方が相当数いるのです(そのような方が革底を履いていることはほとんど無いのですが)。
もう少し自分が身に着けているモノに興味を持って欲しいな、と言う想いを込めて、今日は底面に関する豆知識です。靴好きならご存じの内容だと思いますので、ビギナー向けです。
お手元の革靴をひっくり返して、ヒールをご覧ください。
1箇所だけ、角がカットされている部分はありませんか?
特に革底の靴に多いのですが、画像のようにヒールの内側の角がカットされています。
理由は諸説ありますが、「欧米人が靴を履いたままトラウザーズを脱ぎ履きする時に引っかからないように」とか「歩行中に階段でつまづかないように」などと言われています。
当初はそのような理由で生まれたのでしょうが、私の経験上、カットされていない靴を履いていて不都合に思ったことはありませんので、実際には機能性と言うより意匠(デザイン)の意味合いが強いのではないかと思います。
ほとんどの人が気づかないデザインなんて意味あるの?と思いがちですが、今もそれが受け継がれているのは、たとえ履いている人に気づいてもらえなくても「伝統的な革靴とはこうあるべき」と言う作り手の想いではないかと思っています。
ファッションの世界には、合理的な理由のある仕様や、格好良く見せるためだけの仕様など様々なものがありますが、「なぜか受け継がれている仕様」があるのも面白いところです。
コストやスピードが重視される時代において、それはただの無駄でしかないのかもしれませんが、無駄なことにあれこれ思いを巡らす余裕を人間に与えることが、今のファッションに求められているのかもしれません。
当店のオーダーシューズは、クレープソール(生ゴム)など一部のソールを除き、ヒールの内側の角がカットされています。
オーダーシューズ 41,800円(税込)~
当店は山形県南陽市の宮城興業ふるさと納税お仕立券に対応しています。
フィボナッチ紳士洋品店
東京都墨田区墨田5-4-7
03-6874-3505
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